Wednesday, June 23, 2021

Pfizer’s Report to the Japanese Government


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 SARS-CoV-2 mRNA Vaccine (BNT162, PF-07302048)2.6.4薬物動態試験の概要文 PFIZER CONFIDENTIAL Page 1

TABLE OF CONTENTS

LIST OF TABLES........................1

LIST OF FIGURES.......................1

本項で使用する用語・略語........2

1.まとめ...........3

2.分析法...........4

3.吸収...............4

4.分布................5

5.代謝.................7

6.排泄.................9

7.薬物動態学的薬物相互作用........9

8.その他の薬物動態試験...........9

9.考察および結論............9

10.図表.................10

参考文献.......................10

LIST OF TABLES

Table1 ルシフェラーゼRNA封入LNPをWistar Hanラットに1 mg RNA/kgの用量で静脈内投与したときのALC-0315およびALC-0159の薬物動態....4

LIST OF FIGURESFigure1 ルシフェラーゼRNA封入LNPをWistar Hanラットに1 mg RNA/kgの用量で静脈内投与したときのALC-0315およびALC-0159の血漿および肝臓中濃............5

Figure 2 ルシフェラーゼRNA封入LNPを筋肉内投与したBALB/cマウスにおける生体内発......................6

Figure 3 種々の動物種でのALC-0315の推定生体内代謝経路.................8

Figure 4 種々の動物種でのALC-0159の推定生体内代謝経路..................9 


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RS-CoV-2  mRNA Vaccine  (BNT162,  PF-07302048) 2.6.4 薬物動態試験の概要文

本項で使用する用語・略語

用語・略号 = 省略していない表現または定義本剤に添加されるPEG脂質

ALC-0159 = 本剤に添加されるPEG脂質

ALC-0315 = 本剤に添加されるアミノ脂質

[3H]-CHE = Radiolabeled [Cholesteryl-1,2-3H(N)]-Cholesteryl Hexadecyl Ether:放射性標識 [コレステリル-1, 2-3H(N)]ヘキサデシルエーテル

DSPC = 1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン

GLP = Good Laboratory Practice:医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準

LNP = Lipid-nanoparticle:脂質ナノ粒子

modRNA = Nucleoside-modified mRNA:修飾ヌクレオシド

mRNA = Messenger RNA:メッセンジャーRNA 

m/z =  m/z(m・オーバー・z):イオンの質量を統一原子質量単位(=ダルトン)で割って得られた無次元量をさらにイオンの電荷数の絶対値で割って得られる無次元量

PEG = Polyethylene glycol:ポリエチレングリコール

PK = Pharmacokinetics:薬物動態

RNA =  Ribonucleic acid:リボ核酸

S9 = Supernatant fraction obtained from liver homogenate by centrifuging at 9000 g:肝ホモジネートを9000gで遠心分離した上清画分

WHO = World Health Organization:世界保健機関


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SARS-CoV-2 mRNA Vaccine (BNT162, PF-07302048) 2.6.4 薬物動態試験の概要文

1. まとめ

BNT162b2(BioNTech コード番号:BNT162,Pfizer コード番号:PF-07302048)は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイク糖タンパク質(Sタンパク質)全長体をコードする修飾ヌクレオシドmRNA(modRNA)であり,SARS-CoV-2による感染症に対するmRNAワクチンの本質として開発が進められている。BNT162b2の製剤化にあたっては,2つの機能脂質であるALC-0315(アミノ脂質)およびALC-0159(PEG脂質)ならびに2つの構造脂質としてDSPC(1,2-distearoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)およびコレステロールと混合することでBNT162b2 を封入する脂質ナノ粒子(LNP)が形成される(以降,「BNT162b2封入LNP」)。

BNT162b2 封入LNPの非臨床薬物動態を評価するために,LNPに含まれるALC-0315およびALC-0159 の吸収(PK),代謝および排泄を評価するin vivoおよびin vitro試験ならびにBNT162b2の代替レポーターとしてルシフェラーゼまたは放射能標識した脂質を利用した生体内分布試験を実施した。

感染症予防を目的としたワクチンの開発では全身曝露量の評価を必要としないことを踏まえ(WHO, 2005;感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン)1,2,BNT162b2封入LNPの筋肉内投与によるPK試験は実施しなかった。また,本剤に含有される他の2種類の脂質(コレステロールおよびDSPC)は天然に存在する脂質であり,内在性脂質と同様に代謝,排泄されると考えられる。加えて,BNT162b2は取り込んだ細胞中のリボヌクレアーゼにより分解されて核酸代謝され,BNT162b2由来のSタンパク質はタンパク分解を受けると予想される。以上のことから,あらためてこれらの成分の代謝および排泄を評価する必要はないと考えられた。

BNT162b2の代替レポーターとしてルシフェラーゼをコードするRNAを封入したLNP(ルシフェラーゼRNAをBNT162b2封入LNPと同一の脂質構成を持つLNPに封入:以降,「ルシフェラーゼRNA封入LNP」)をWistarHanラットに静脈内投与したPK試験では,血漿,尿,糞および肝臓試料を経時的に採取して,各試料中のALC-0315およびALC-0159濃度を測定した。その結果,ALC-0315およびALC-0159は血中から肝臓にすみやかに分布することが示された。また,ALC-0315およびALC-0159はそれぞれ投与量の約1%および約50%が未変化体として糞中に排泄され,尿中においてはいずれも検出限界未満であった。

生体内分布試験では,ルシフェラーゼRNA封入LNPをBALB/cマウスに筋肉内投与した。その結果,ルシフェラーゼの発現が投与部位でみられ,それより発現量は低値であったものの肝臓でも認められた。ルシフェラーゼの投与部位での発現は投与後6時間から認められ,投与後9日には消失した。肝臓での発現も投与後6時間に認められ,投与後48時間までに消失した。また,ルシフェラーゼRNA封入LNPの放射能標識体をラットに筋肉内投与して生体内分布を定量的に評価したところ,放射能濃度は投与部位で最も高値であった。投与部位以外では肝臓が最も高かった(投与量の最大18%)。

ALC-0315およびALC-0159の代謝をCD-1/ICRマウス,Wistar HanまたはSprague Dawleyラット,カニクイザルもしくはヒトの血液,肝ミクロソーム,肝S9画分および肝細胞を用いてin vitroで評価した。また,上記のラット静脈内投与PK試験で採取した血漿,尿,糞および肝臓試料を用いてin vivo 代謝についても検討した。これらin vitroおよびin vivo試験から,ALC-0315およびALC-0159 は,試験したいずれの動物種でも,それぞれエステル結合およびアミド結合の加水分解により緩徐に代謝されることが示された。

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以上の非臨床薬物動態評価より,循環血中に到達したLNPは肝臓に分布することが示された。また,ALC-0315およびALC-0159の消失には,それぞれ代謝および糞中排泄が関与することが示唆された。

2. 分析法

報告書番号:PF-07302048_06_072424 

GLP 非適用のラット静脈内投与PK試験(M2.6.4.3項)でLNPの構成脂質であるALC-0315よびALC-0159 濃度を定量するために適切な性能を有するLC/MS法を開発した。すなわち,20µLの血漿,肝ホモジネート(肝臓の3箇所から採取した切片を用いてホモジネートを調製し,それらをプールしたものを適宜,ブランクマトリクスで希釈),尿および糞ホモジネート(適宜,ブランクマトリクスで希釈)試料をそれぞれ内部標準物質(PEG-2000)を含有するアセトニトリルで除タンパクした後,遠心分離し,その上清をLC-MS/MS測定に供した。

3. 吸収

報告書番号:PF-07302048_06_072424,概要表:2.6.5.3 

ALC-0315 およびALC-0159の体内動態を検討するため,ルシフェラーゼRNA封入LNPを雄性Wistar Han ラットに1mg RNA/kg の用量で単回静脈内投与し,経時的(投与前,投与後0.1,0.25,0.5,1,3,6および24時間ならびに投与後2,4,8および14日)に血漿および肝臓をスパースサンプリングにより採取(3匹/時点)した。血漿中および肝臓中のALC-0315およびALC-0159濃度を測定し,PKパラメータを算出した(Table1)。血中のALC-0315およびALC-0159は,投与後24時間までにすみやかに肝臓へ分布した。また,投与後24時間の血漿中濃度は最高血漿中濃度の1%未満であった(Figure1)。見かけの終末相消失半減期(t½)は血漿中および肝臓中で同程度で,ALC-0315は6~8日,ALC-0159は2~3日であった。本試験の結果から,肝臓が血中からのALC-0315およびALC-0159を取り込む主要組織の1つであることが示唆された。

本試験において実施したALC-0315およびALC-0159の尿中および糞中濃度の検討結果についてはM2.6.4.6 項で述べる。

Table 1 ルシフェラーゼRNA封入LNPをWistar Hanラットに1mgRNA/kgの用量で静脈内投与したときのALC-0315およびALC-0159の薬物動態

分析物, 分析物の投与量(mg/kg), 性/N , t½(h) , AUCinf (μg•h/mL) ,  AUClast(μg•h/mL), 肝臓への分布割合 (%)a;  ALC-0315, ALC-0159, 15.3, 1.96, 雄/3b ,139, 72.7, 雄/3b 

a. [最高肝臓分布量 (μg)]/[投与量 (μg)]として算出。

b. 各時点3匹。スパースサンプリング。


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